孤独死などで入居者が亡くなった場合、特殊清掃の費用が発生します。
決して安くはない特殊清掃にかかる費用。
一体誰が払うのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
特殊清掃の費用を負担するのは基本的に借り主側ですが、場合によっては大家さんが責任を負うこともあるなどケース·バイ·ケースです。
そこで本記事では、特殊清掃の費用は誰が払うのか、対象となりうる方について紹介します。
そのうえで、物件の所有者に支払義務が生じた場合を想定して
・特殊清掃にかかる費用
・特殊清掃の費用相場
・費用の負担を軽減するための対策
の3点について解説します。
賃貸住宅において特殊清掃の費用を支払う対象者は、責任のある順番から
①連帯保証人
②法定相続人
③物件の持ち主
です。
ここでいう「連帯保証人」とは、故人がその部屋を借りる際に、連帯保証人に名前を連ねた人のことです。連帯保証人は、特殊清掃など「原状回復の義務」を負っています。
なぜ連帯保証人が1番目にくるかというと、連帯保証人は借り主と同じ程度の責任を負うことを、契約上表明しているからです。
つまり、原状回復は本来借り主が支払うものですが、借り主が亡くなったため代わりに連帯保証人が費用を負担するということです。
法定相続人とは、故人の遺産を相続する遺族を指します。
つまり、
・配偶者
・子供
・両親
・兄弟(姉妹)
が法定相続人です。
孤独死などで借り主が亡くなった場合、特殊清掃の費用は連帯保証人が支払います。もし、連帯保証人が亡くなるなどして責任を果たせない場合は、支払義務は相続人に移ります。
この場合大家さんは、相続人に対して特殊清掃の費用を請求できます。
物件の持ち主とは、大家さんなど借り主が借りていた物件の所有者を指します。
特殊清掃の費用を負担する順番は、連帯保証人や故人の親族の方よりも低いですが、負担するケースはゼロかというとそうではありません。
次の章では、大家さんが支払うケースについて説明します。
ケース1:ご遺族が相続放棄した場合
故人と長年疎遠だったなどの理由から、ご遺族が相続放棄(相続人が、法的に遺産の相続を放棄すること)した場合、孤独死の処理などにかかる費用を支払うのは大家さんです(相続放棄の前なら、法定相続人に費用を請求できます)。
故人が生活保護を受けていた場合でも、自治体は特殊清掃の費用等は負担してくれません。そのため、相続放棄された場合は、大家さんが特殊清掃の費用を負担することになります。
ケース2:故人の死因が病死または自然死の場合
病死や自然死は、本人の意思に関わらず誰にでも起こりうることです。 孤独死の死因が自然死だった場合は、原則として連帯保証人に原状回復などの費用を負担する責任はない判例もあるようです。
孤独死の部屋を清掃し、次の人に貸すための費用は大家さんが支払うケースがあるようです。ただし、死後日数が経過して大掛かりな特殊清掃が必要となった場合、話し合いによってご遺族が任意にて費用を負担してもらえる可能性はあります。
ケース3:責任を負う人が見つからない場合
契約から数年がたち、連帯保証人が資産の無い高齢で支払えない、または亡くなっている場合は、連帯保証人に費用を請求しても払ってもらえないケースが殆どです。
その場合、費用の支払いは相続人となりますが、相続人も同じような状態だったり、連絡が取れなかったりした場合は、大家さん自ら負担になるケースが多いでしょう。
特殊清掃とは、通常の清掃では取り除けない現場の原状回復を目的とする清掃方法のこと。遺品の整理·不用品の撤去とともに、孤独死の処理に不可欠な作業に位置づけられています。
孤独死の処理になぜ特殊清掃が必要かといいますと、普通の清掃ではご遺体から発せられた臭いや、体液によってできた汚損部分を完全に除去することは難しいからです。
特殊清掃を行う人のことを特殊清掃業者と呼びますが、特殊清掃業者によって特殊清掃の範囲ややり方は異なります。
特殊清掃業者が行う主な作業内容は、
特殊清掃業者は、特殊清掃の問い合わせを受けた後、見積もりを出します。
そして、見積もりの金額で問題なければ、都合の良い日を決めて作業をします。
特殊清掃にかかる費用の目安は、「あってないようなもの」と考えた方がよいでしょう。
その理由は、
弊社では、状況的に追加施工などが必要な場合は、ご相談いたします。ご相談後の追加施工については、別途料金をいただくこともございます。
また、料金内訳は人件費込みの価格です。いくらかリーズナブルではありますが、特殊清掃業者に依頼ししたらどのくらい費用がかかるのか、参考になりますと幸いです。
特殊清掃の必要が出た場合、自分で費用を支払わなければならないと考えると、ゆううつになりますよね。
高額な費用の負担を避ける方法の1つに、保険に加入することが挙げられます。
特殊清掃の費用を負担してくれる保険の種類には、以下のものがあります。
孤独死保険とは、孤独死が発生した場合に必要な費用の補償を目的とした保険です。
少額短期保険業者が提供している孤独死保険には、
家主型孤独死保険の保険料は、1室あたりいくらと設定されています(相場は1室300~500円/月ほど)。
孤独死保険の補償ですが、1事故あたり
家主型孤独死保険は、大家さんに保険料の負担がかかりますが、孤独死があった場合
手厚い補償があるため、孤独死が発生したときの安心は得られますが、ネックとなるのは保険料。
1室あたり数百円とはいえ、家主型孤独死保険は「20室あるうちの1室のみ保険をかける」ということはできず、1棟(または所有している物件の総数)を対象としています。
例えば1室あたり500円として、20室で月1万円。
年間で12万円かかります。
損害保険会社が販売している孤独死保険には、
火災保険の特約として付帯されている孤独死保険は、「孤独死保険」ではなく「家主費用特約」「家賃収入特約」などという名前が付けられています。
補償内容など各商品によって異なりますが、カバーしているのは
火災保険に加入する際、ついでに申し込めるため、面倒な手続きをすることなく加入できます。
自殺や他殺など孤独死以外の場合も適用される点も、特約を付けるメリットといえるでしょう。
デメリットは、商品によって補償の範囲に差がある点です。
中には、家賃損失の補償と原状回復費用の補償を、別々の特約としている損害保険会社もあります。
どのような補償をどの程度カバーしているのか、加入前に保険会社に確認するようにしましょう。
特殊清掃の費用は誰が払うのかについて、責任を負う人から費用対策まで説明しました。
大家さんが費用を負担する主なケースは以下の3つでした。
特殊清掃など孤独死に伴う費用の対策として、保険に加入する方法があることをお伝えしました。
保険についてはメリットやデメリットを理解し、加入を検討するとよいでしょう。
孤独死が発生したことを想定し、何ができるかを考え万が一に備えましょう。