孤独死現場の作業で頭を悩ませることといえば、清掃業者選びではないでしょうか。
孤独死が発見された部屋は、できるだけ早く清掃をする必要があるでしょう。
けれども「本当にこの清掃業者で大丈夫なのだろうか」「悪徳業者を選んでしまったらどうしよう」と不安が増し、どこに依頼していいか迷ってしまうかもしれません。
孤独死現場の清掃は、通常の清掃と異なり「特殊清掃」という作業が必要です。 それを踏まえたうえで良い業者を見極めるポイントを押さえれば、清掃業者選びで失敗することは極端に減るでしょう。
この記事では、孤独死の清掃業者選びでお困りの方向けに、良い清掃業者を選ぶための4つのポイントをご紹介します。
その理由として以下の2点が挙げられます。
① 実績の少ない中途半端な技術の特殊清掃では完全に問題を解決できない
② すべての業者が特殊清掃を徹底して行うとは限らない
各理由について、詳しく見てみましょう。
「特殊清掃」とは、孤独死のあった部屋の原状回復やクリーニングを目的とした清掃のことをいいます。
孤独死は発見されるまでに時間がたっている場合が多く、発見された時はウジやハエ等の害虫が大量にわき、体液や血液が床下にまで浸透しているなど、通常の清掃できれいにすることは非常に困難です。
そこで特殊清掃が必要となるのですが、中途半端な特殊清掃は、害虫や臭いの問題を長引かせることにつながります。
例えば、孤独死された方の部屋の臭いといっても腐乱臭だけでなく、死臭とともに故人の糞尿の臭いが混ざっていることがあります。ペットを飼っていた場合は、ご遺体の臭いとともにペットの臭いも消す必要が出てきます。
複雑かつ強烈な臭いを除去するスキルを持っていなければ、臭いや汚染を取り除ききれず中途半端な消臭で終わってしまうでしょう。 そして、完全に消臭することができなければ、その部屋の再利用が難しくなります。
①除菌
②汚染物(ご遺体の体液などが染みついた物)の処理
③1回目の消臭作業(オゾン脱臭で一定の臭いをとる)
④家財の搬出
⑤汚損箇所の清掃(必要に応じて解体作業、消臭特殊コーティングも含む)
⑥室内の徹底的なクリーニング
⑦徹底的な消臭作業(オゾン脱臭等)
⑧除菌
特殊清掃を含む孤独死現場の清掃は、通常の清掃よりも高額になる傾向があります。 そのため、悪徳業者のお金儲けに利用されやすく、特殊清掃をめぐってトラブルが発生し特殊清掃業者に対して悪いイメージを持つ人も少なくありません。
しかし、いい加減な清掃業者がいる反面、高い技術力と信念を持ち真面目に作業を行っている清掃業者がいるのも事実です。
良心的な清掃業者かどうか見極める際、以下4つの点を検討してみましょう。
① 完全消臭の実績はあるか
② 費用は適切か
③ サービスを明確にしているか
④ 誠実な対応をしているか
それぞれ詳しく見てみましょう。
孤独死の清掃で問題となりやすいのが、"残臭"です。 消臭作業を徹底していないと、掃除した直後臭いは消えますがしばらくして戻ります。
腐乱したご遺体から発せられる臭いは強烈で、完全に取り除くには特殊な薬剤や機材に加えて、専門的な技術が必要です。
もし、消臭作業が下手な業者に頼んでしまうと臭いが残り、外の業者に再度依頼することになるでしょう。その際フローリングや畳をはがすなどの大掛かりな作業となれば、その分費用もかさみます。
依頼する前に、その清掃業者のホームページなどで完全消臭の実績や特殊清掃の流れを確認することは非常に重要です。
可能であれば、その清掃業者が持つ特殊清掃に対する姿勢や考え、その他技術力、また施工方法についても確認しておきましょう(信念を持っている業者なら、ホームページに情報が掲載されているはずです)。特殊清掃とどう向き合っているかを知ることも、良い業者かどうか見極める材料になります。
孤独死の部屋清掃にかける費用はできるだけ抑えたい、というお気持ちはわかります。 しかし、安い費用を基準に業者を選んでしまうと悪徳業者にひっかかる可能性が高く、かえって予想以上の支出になるおそれがあります。
悪徳業者は、清掃前にリフォームをすすめ高額を提示する傾向があります。また、「すべての作業を入れて120万円」というふうに、細かな作業を明記せず、全部ひっくるめて高額請求する業者もいます。
最初に低料金を提示された場合も注意が必要です。 「業界最安値」と低価格を提示したものの、契約後さまざまな名目で費用を上乗せし、最終的に見積もりの何倍もの料金を請求してくる場合もあります。
適正価格を提示している業者を見つけるには、その業者のホームページなどに掲載されている料金を確認することが必要です。良心的な業者であれば、ある程度明確な料金設定を掲載しているはずです。
さらに、他の業者についてもチェックし、料金を比較してみましょう。比較をすることで、提示している金額が極端に高い/低いかの目安がわかります。
このように、見積もりを比較することは悪徳業者を避けるための有効な方法です。 もし少しでも時間に余裕があるのなら、複数の業者から見積もりを出してもらいましょう。
多くの業者は無料で見積もりを作成しています。 見積もりを作成する際、清掃業者は現場を訪れて状態を確認します。優良業者は見積もり後に追加料金を請求することはほとんどないため、 必ず追加料金の有無を確認するようにしましょう。
孤独死現場の清掃は、綿密な作業の連続です。 そして、作業ごとに料金が設定されその合計が費用になるケースが多いです。 見積もりをしてもらったら必ず作業内容を確認してください。良い業者は、キチンとわかる範囲で説明をしてくれるはずです。(悪徳業者の見積もりは、作業内容が大雑把という場合がほとんどです)。
さらに、金額が作業内容に見合っているかどうかもチェックしましょう。(作業項目の金額が極端に高くないか) 不明な点は遠慮せずに業者に確認をしてみてください。 そこで説明を怠ったり面倒くさい態度を取ったりする業者であれば、依頼しない方が無難でしょう。
そのサービス内容で原状回復が可能かどうか確認したうえで、正式に依頼することが賢明です。
正式に依頼する前に見積もりを出してもらうことは、その清掃業者の対応をチェックするのにも役立ちます。 ホームページで良い印象を受けても、実際にやり取りすると、ぞんざいや横柄な対応だったということも珍しくありません。
特殊清掃は、孤独死現場の清掃をするという点において人の死に関係している仕事です。 お亡くなりになられた方やご遺族様、さらにご依頼される方々の気持ちにキチンと寄り添えているかが、良し悪しの判断材料となるでしょう。
作業工程の効果や理由について順を追ってわかりやすく説明してくれる業者は、かなり対応が良いといえます。 気持ちの良い取引きをするためにも、誠実に対応してくれる業者を選ぶことをおすすめします。
できれば契約する際に「孤独死によって発生した死臭は完全に消す」といった項目を盛り込んでもらうと安心です。
孤独死の清掃業者の選び方についてご紹介しました。
失敗しない清掃業者を選ぶポイントは、以下の4つです。
① 完全消臭の実績はあるか
② 費用は適切か
③ サービスを明確にしているか
④ 誠実に対応してくれるか
孤独死の現場作業は、ご遺体発見からできるだけ早く実施することが求められるため、業者を選ぶ時間は限られてしまいます。 「早く手配しなくては」と気が焦るかもしれませんが、悪徳業者を選んでしまうと予想以上に費用や時間がかかることになってしまいます。
業者選びは、可能な限り時間をかけご検討することをおすすめいたします。それが、原状回復をスムーズにする一番の近道でしょう。